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2021.06.04 13:28

黒は似合わないって君が言ったんだ

闇の帝王が禁じられた森から歩いてくる。僕はそれを正面玄関で待ち受けていた。傍ではゴイルがいまだに泣きじゃくっていた。後悔したって僕らには何も残らない。今更悔やんだところで魔法界は僕らを許さないだろう。もし仮に、あのお優しいポッターが僕を許したとしてもだ。緑の目が脳裏を横切って、僕...

2021.06.02 11:20

愛していたよ、誰よりも

- 愛していたよ、誰よりも -「あ、コイツ、僕のこと好きだな」と気づいたのは些細な出来事からだった。気づいてしまってから、ハリーはドラコを見るたび、馬鹿だな馬鹿だなと思うようになった。どれだけドラコが必死になってるか手にとるようにわかって、やっぱりあの日の直感は事実なのだとその度...

2021.03.22 13:48

祈り

 祈りは神に捧げるものだ。十字架の前に跪き、敬虔な首を垂れ、粛々と口にするものである。 ならば神とはなんなのか。聖陽教が蔓延するこの国の、太陽神とはなんだろうか。ラフルスに御使いを送り、天照を建設したこと以外に太陽神が人を救った記録などないではないか。 教会を併設する特殊消防隊に...

2021.02.23 02:16

あいつが魔法使いなんて聞いてない!

  嫌な予感はしていた。朝からダーズリー家に暗雲が垂れ込めていたし、ハリーの物と同じくらい大きいトランクが車の中にもう一つ詰め込まれた。さらにキングスクロスまでの道中ずっとダドリーがグズグズ泣いていた。でもハリーは色々な兆候を極力無視しようとした。いつの間にかダドリーの尻から尻尾...

2021.02.23 02:15

何も始まらない日

"…Are you going to Scarborough Fair…parsley,sage rosemary and thyme …"真白い病室に少女の歌声が小さく響く。聖マンゴの一室にはおおよそ似つかわしくない、マグルの歌。それは少女の母親のために歌われた歌だった。囁くよ...

2021.02.23 02:13

嬲る恋

隅’sドラハリは 「もうやめてよ 知りたくなかった 知らないままで、君の事をあのまま嫌いになっていたかったのに」と潤んだ瞳を歪ませて諦めたような声で言いました。ずるり、身体からマントが剥がされる。僕は指を曲げることすらできず、それを感じていた。薄暗い車内、生徒たちの喧騒が遠くに...

2021.02.23 02:11

まいまいまいご

 ふとした瞬間に現実がわからなくなる。 いや、現実がよりはっきりすると言ったほうが適切だろうか。 アーサー・ボイルは夢の中を生きている。アーサーにとって世界とは不思議で満たされていて、幻獣や魔獣、悪魔や妖精の痕跡がそこかしこにあるものだった。 その不思議はアーサーの日常で、特に強...

2021.02.23 02:08

思い出だけは燃えないで

 炎に包まれた記憶がある。高校の時、一つ上の先輩の人体発火現象に居合わせたのだ。あれからもう十年以上経つのにいまだに私の中の炎は消えていない。 大学を卒業し、文房具屋の店員になってあくせく働いていてもふとした時に炎は燃え上がる。 私はいつも昼食を職場近くの公園で摂る。割と広い公園...

2021.02.23 02:07

いつか僕は夏に出会う

 アーサーがそのゲームを始めると、夏が来たなと森羅は実感する。扉を開けた形のまま、森羅は少し止まっていた。 テレビの前に座り、画面を見つめるアーサーが窓の向こうの青空からくっきり浮いていて、影になっていて、薄暗く見えたからだ。 冬の朝に、霜柱を踏むような慎重さで森羅は部屋に足を踏...

2021.02.23 02:02

病は気のせいです!

喉が痛くて目が覚めた。朝の日差しがカーテンの隙間からこぼれ落ちている。森羅はベットの上でムクリと起き上がった、と同時に起こっためまいに頭を押さえる。喉がヒリヒリ痛くて、体がだるかった。なんだか心当たりのある症状だったが、冷たい水でも飲めばスッキリするだろうと梯子を降りた。途端、背...

2021.02.23 02:01

つめたい君に送る

ストーブが出てくると本格的に冬が始まったと思う。隙間風の多い第八では、エアコンの温風はすぐにどこかへ抜けてしまう。その為暖房は基本、古き良きストーブだった。火力のあるストーブのおかげでいつも事務室はほかほかで、その分廊下に出た時の寒さが身に沁みた。「うー、さむ!!」一日の業務を終...

2021.02.23 02:01

数多の星には祈らない

 東京皇国の夜は明るい。アマテラスの潤沢なエネルギーで夜の闇は照らされ、皇国の人間は真の暗闇というものを知らなかった。 それは森羅にとっても同じだった。だから初めて中華半島に渡り、焚き火のみで夜を迎えた時、天上を覆う星の海に驚いた。 地べたにひいたシートに寝転がり、ただ真上を見て...

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